「日本の米づくりを支え、田んぼを守る」という思いのもと、コープデリグループで2008年に始まったプロジェクトです。お米は食文化の柱でありながら、日本人1人あたりの消費量がこの50年で半減し、休耕田が増える一因となっています。飼料用米を育て、その米を配合した餌を豚に与え、おいしい豚肉を組合員の皆さんにお届けすることで、日本の米づくりを支え、農業・畜産業を元気にしています。
コープの豚肉といえば「産直お米育ち豚」。皆さんは召し上がったことはありますか?
2009年の発売以来、「脂身が甘くておいしい」と組合員の皆さんの好評の声とともに、販売量を増やしてきました。お米育ち豚とは、豚の全肥育期間約6カ月のうち、出荷前の約2カ月間、輸入とうもろこしに代わり、国産の玄米を粉砕した飼料用米を約15%配合した餌を与えている豚肉です。日本では年々お米の消費量が減り休耕田が増えていくなかで、日本の米づくりを守りたいという思いが込められています。
生産地の一つである、東海ファーム(千葉県香取郡)を訪れ、髙木敏行さん、髙木強志さんに話を聞きました。父・敏行さんは豚を育てて50年のベテラン。息子の強志さんは家業に入って10年の若手生産者です。東海ファームでは、農場HACCP※1を取得し徹底的な衛生管理のもと、豚を飼養しています。
「繁殖・分娩・離乳・肥育の施設を分散させ一貫生産しています。常時10人体制でそれぞれの専門分野を担当しています。病気にかからないように病原を断って、特定病原菌がない状態で育てています」と敏行さん。
豚舎周囲には防護柵を設置し、豚舎内立ち入りは厳重に管理、外から菌を持ち込まないように、社員の皆さんはシャワーを浴びて着替えてから毎朝仕事を始めます。餌の減り具合や豚の動態もすべて管理データとして記録し、安全性確保や技術の向上に生かしています。
髙木さん親子は、2009年から飼料用米給餌の豚肉生産に取り組んできました。
「豚は食べる餌によって肉質が変わります。飼料用米を与えると上質の脂になり、肉質がしっとりしているのに締まり、おいしい豚肉になります。例えばとうもろこしの割合を増やしすぎると、やわらかいけれどべたっとした肉質になってしまう。飼料用米はコストは高くなりますが、皆さんがおいしいと思ってくださる豚肉を生産していきたいですね」と強志さんは話します。
「12戸の農場でグループとして活動しています。皆でまとまって生産することでできることが増え、強みになると思っています。定期的に成績検討会を開いて、より良い豚肉を研究し生産しています。今後、供給量をさらに増やしていくことが課題です。どの農場も、後継者が育っているんですよ」と敏行さんは笑顔で語ります。
「豚の餌にお米を使うことはおいしさだけではなく、米農家さんを支え、日本の農業の未来を支えることにつながるので、意義深い取り組みだと思っています」と強志さんは続けます。
「私も豚肉を毎日食べていますが、どんな食材にもとても合いますよね。組合員の皆さんにも毎日『おいしい』って食べていただけるよう、これからも味はもちろん、見た目もおいしそうな豚肉を生産したいと思っています」、敏行さんは最後にこう言いました。
コープが自信を持ってお届けしている「産直 お米育ち豚」。ぜひ、毎日の食卓でお召し上がりください。
子豚が生まれる豚舎です。毎日2回担当者が見回り、母豚の体調に変化はないか、分娩はいつ始まりそうか、餌をしっかり食べているかを確認します。
母豚の特徴をカードに書いています。
分娩直後の母豚の初乳に免疫がたくさん含まれているので、子豚が初乳を飲むことは本当に大切。25日で離乳するまでここで成長します。
分娩前後の母豚や子豚はデリケートなので、1頭1頭まめにチェックして必要な薬を投与していきます。
子豚がある程度大きくなったら離乳舎へ移動します。
機械によって換気や温度を自動で管理しています。
毎日担当者が巡回し、温度が適切か、せきや下痢をしていないかなどを確認しています。
体重50kgほどになる、約90日齢まで離乳舎にいます。
約180日齢、体重約110kgになるまで肥育舎にいて出荷されます。敷地が一番広く、頭数も多いので重機を使った作業がメインです。体重の管理や体調管理に気を使っています。特に肺炎などの病気に注意しています。豚舎のカーテンの開け閉めで空気を循環させています。手塩にかけ、愛情を注いで育てた豚たちです。
【広報誌2022年7月号より】