真っ白で、小さな傘がたくさん並ぶえのき。皆さんはどのような食べ方がお好きですか?
ソテーや鍋料理はもちろん、さまざまな食べ方を楽しめます。
きのこ類生産量日本一の長野県、産直 えのきの生産者を訪ねました。
秋の味覚といえば「きのこ」。小さな傘がたくさん並ぶ真っ白いえのきは、しゃきっとした歯ごたえがおなじみのきのこです。1年中安定的に食べることができ、食卓でも重宝します。
きのこ類生産量日本一の長野県。JA中野市の生産者・長島雄一さんに話を聞きました。JA中野市では長島さんをはじめ114軒の農家がえのきを生産しています。
「良いえのきはぎゅっと詰まっていて、傘の広がりが少なく見た目も白くてきれい。それが、食べたときの食感が良く、重量もしっかりある証(あかし)なんです。
昔のきのこ生産は、暗い部屋で育て防寒着を着て作業し、重いものを持つ機会も多く、部屋の中で収穫したものを外へ持ち出してパック詰めするという重労働でした。しかし現在は設備の整った施設内で生産ができるようになり、高齢の方でも作業がしやすくなりました」と長島さん。
産直 えのきは1パック200g、出荷するサイズの「ビン」※で育て、人が手で触れるのは収穫時の1度のみ。採れたてをすぐにパック詰めするから、鮮度良くお届けできます。
えのきは、培養センターでビンに菌を植え付け18~20日間培養し、発芽の準備が整った状態で生産者の元へ届きます。
「ここまでを培養センターに担ってもらうことで、品質が安定し、雑菌に弱い成長過程のきのこを守ることができます。そこから私たちがまず2週間かけて発芽させます」と長島さんは説明を続けます。
えのきを栽培する部屋は23。天井が高く、1部屋で3万株のえのきを育てています。「芽出し」は、最初の温度は15度、湿度をほぼ100%に設定し、ビンを乾かない状態にして発芽させます。外気を取り入れたり状態を見ながら加湿の調整もします。この期間で、えのきの質がほぼ決まります。
発芽したらひとつずつ青い筒をかぶせる「筒かぶせ」の工程です。この筒があることで、きのこの表面が乾かず、広がらずまっすぐに育ちます。
このときの室温は6度ほど。ここから温度を段階的に3~4度まで下げていきます。えのきにとってはちょっと寒い状態ですが、伸びすぎを防ぎ、芽数が増え、軸が太くなり食感が良くなります。
「1日でぐっと伸びてしまうときもあるので、毎日、朝・晩ひととおり成長具合を見て回ります。あわせて加湿が足りているか、空気を入れるタイマーのセット、機械が正常に動いているかのチェックもします」
こうして、培養から収穫まで約45日間で立派に育ち収穫です。
「採ってすぐ包装しています。仕事は生産管理が一番大事です。冬場は生産量が夏に比べてぐっと増えるので、計画的に収穫しないと、生産計画が狂いビンが部屋に入らないということが起きてしまいます。計算しながら、きっちり計画通りに作っていくことが面白味でもあります。私たちが育てたえのきを、まるごと楽しんでもらいたい! と思いながら、日々仕事をしています」
と長島さんは話してくれました。
食感が一番の自慢である産直 えのき。さまざまな料理でぜひお楽しみください。
【広報誌2019年10月号より】