協同組合は、世界中で100カ国以上にあり、その組合員の数は10億人を超えています。国際協同組合同盟(ICA)は、1995年に「協同組合のアイデンティティに関するICA声明」を発表しました。この声明では、協同組合の定義や大切な考え方、運営のための7つの原則が示されています。今回は第6原則を紹介します。
第6原則のポイント
協同組合は、組合員に役立ち、協同組合の理念や価値を社会に広げる運動を強めるために、地域・国内・国際の枠組みを越えて、他の協同組合と連携することが大切です。
連携して弱みを強みに
協同組合は、共通のニーズや願いを持つ人たちが集まって作られますが、単独の協同組合では社会の発展に伴って変化する組合員のニーズに応えることが難しくなってきました。最近では少子化や高齢化、グローバル化のほか、これらを背景とした行政施策の変更や見直しによる地域の活力低下、自然災害、経済的格差、社会的孤立などの問題が深刻化しています。
こうしたことから、協同組合間の協同が運営原則に位置づけられました。また、国境を越えて活動する大企業などが存在する中で協同組合が存続するためにも、協同組合間の連携は重要になります。
事業と運動の両面で連携してつながりを強化
第6原則は、組合員のニーズに応えるだけでなく、地域の問題を解決するためにも協同組合間の連携が必要だと示しています。
日本では、2012年の国際協同組合年をきっかけに、地域や都道府県、全国で異なる協同組合間の連携が進み、日本協同組合連携機構(JCA)が設立されました。2025年、2度目の国際協同組合年では、全国実行委員会の目標の一つに、国際機関や海外の協同組合とのつながりを強めることが掲げられています。
この機会を通じて、日本の協同組合は国連機関やICA、世界の協同組合と連携を深め、互いに学び合うことで、さらに協同組合の可能性を広げることが期待されています。
共済事業
協同組合の支払共済金は4.4兆円
国内の保障事業は、生命保険、損害保険および協同組合が実施する「共済」に分類されます。2022年度における国内保障事業全体の支払額は29兆2,509億円であり、このうち生命保険会社の支払保険金が19兆5,336億円、損害保険会社の正味支払保険金が5兆2,865億円です。協同組合の支払共済金は4兆4,308億円で、全体の15.1%を占めます。また、2022年度国内保障事業全体の保険料・掛金収入は、50兆4,231億円で、共済は6兆1,388億円と全体の12.2%を占めています。
出典:『 2022年事業年度版協同組合統計表』(2025年3月:日本協同組合連携機構)
次回は、第7原則 地域社会への関与について学びます(最終回)。












