協同組合は地球規模
私たちが普段利用している生協や農協(JA)などの「協同組合」は、世界中に存在しています。協同組合の国際的な組織・ICA(国際協同組合同盟)には、100カ国以上の協同組合が加盟しており、その組合員の数はなんと10億人以上。国ごとに制度は違いますが、1995年に採択された「協同組合のアイデンティティに関するICA声明」という共通のルールに従って運営されています。
協同組合の多くは、19世紀半ばのヨーロッパで誕生しました。産業革命によって資本家と労働者の間に格差が生まれるようになり、弱い立場の人々が協力してより良い生活や仕事を求めるため、協同組合は作られたのです。イギリスでは生協が、ドイツやデンマークでは農村や都市の信用組合が、フランスでは労働者協同組合が生まれました。
各国の協同組合の特徴
現在でも、協同組合は世界中で人々の生活を向上させたり、持続可能な社会を実現するために活動しています。
例えば、
- ・スイスでは、2つの生協が食品小売の70%以上のシェアを持っています。
- ・ニュージーランドの酪農協同組合は、国の輸出額の25%を占めるほどの影響力があります。
- ・スペインのバスク地方では、労働者協同組合が地域経済を支えており、工業生産から小売、金融、教育までさまざまな分野で活動しています。
- ・イタリアや韓国では、大規模な生協や農協に加えて、小規模な協同組合も地域の問題を解決するために活動しており、障がい者や移民、元受刑者などの雇用を創出しています。
- ・ドイツでは、地域住民が自然エネルギーを利用した電力協同組合を作り、エネルギーを地元で生産・消費しています。
- ・イギリスでは、サポーターが組合員という協同組合形式のサッカーチームや、地域住民が組合員のパブ(パブリックハウス)が存在しています。
日本の生協の組合員数3,063万人

日本の全国547生協(※)の組合員数は2021年度に初めて3,000万人を超え、2023年度現在、3,063万人にのぼります。
※日本生協連調べ。地域生協に加え、医療福祉生協、大学生協を含む
次回は、協同組合の定義について学びます。