国連は、2025年を「国際協同組合年」と定め、持続可能な開発目標(SDGs)の実現に向けて協同組合の価値の認知を高めることを求めています。協同組合は、生協をはじめ、農協、漁協、労働者協同組合、信用組合など、共通の目的を持つ人々が集まって協力し合い、より良い生活を目指す組織です。
2025国際協同組合年の意義と、コープデリグループが社会から求められる役割について、国連広報センターの根本所長にお話を伺いました。
SDGs達成に向けた協同組合への期待
熊﨑2023年12月の国連総会第47回本会議で2025年を国際協同組合年とすることが宣言されました。2012年以来2回目となり、大変光栄であるとともに身が引き締まる思いがいたします。
根本2025年はSDGsのゴールまで5年という節目の年です。その節目に2回目の国際協同組合年が定められたことには、SDGs達成への大きな期待があります。
熊﨑その期待についてお話しいただけますか。
根本まずはSDGsの現在地からお話ししましょう。SDGsは2015年9月の国連総会で採択され、2016年1月1日に発効されました。2030年までに持続可能な世界をつくることが目標です。採択から10年が経過しましたが、現在はピンチに陥っています。SDGsは17のゴールの下に169のターゲット(目的)を掲げていますが、国連は2024年の報告書の中で169のターゲットのうち順調なのは17%にすぎないと発表しています。
熊﨑厳しい状況ですね。
根本2019年にSDGサミットが開催され、取り組みを加速するために、2020年から2030年までを「SDGs達成のための行動の10年」と定めました。ところが、その矢先、新型コロナウイルス感染症により世界が大きな打撃を受け、貧しい国々ではその影響が今も尾を引いています。その後ウクライナ戦争が勃発し、食料やエネルギー価格が高騰しました。経済格差はさらに広がり、気候変動はますます深刻です。またAI技術の発達により、国際社会の信頼が損なわれてしまうような誤った情報も蔓延しています。そして圧倒的に資金が足りない。先進国にも余裕がなく援助に回せる資金がないのです。
そういった状況下で、経済・社会・環境のバランスの取れた形で、利益優先型経済では取り残されてしまうような人たち(女性、若者、高齢者、障がい者など)の社会参加を促し、経済的地位の向上を目指して活動する協同組合という存在に、改めて熱い期待が寄せられているのです。
熊﨑ありがとうございます。自分たちが所属する協同組合にどのような価値があるか、わかりにくいものですが、改めてこのように言っていただけると、期待に応えようと力が湧いてきます。