人と人 つながりの物語 コープデリグループの組合員数は約550万人。組合員の皆さんの数だけ、物語がある。その物語を毎月一つお届けしていきます。描いているのは皆さんのくらしとコープデリの接点。あなたの物語はどんな物語ですか。人と人 つながりの物語

エピソード63自分で選ぶ喜び

2026年2月19日 UP

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エピソード63のイラスト

76歳になる喜美代きみよさんは、物心ついたころからほとんど視力がない。「2歳のときに、病気の合併症で白内障になって。手術もうまくいかず、左目で光や色を感じるくらい」という喜美代さんにとって、スーパーまで出かけて買い物をする負担は大きい。安全・安心へのこだわりにもひかれ、40年ほど前から暮らす埼玉県越谷市で、コープのグループ配達を利用している。「当時は商品の仕分けや代金の集金、持ち回りの班長もあったけれど、みんなが『大丈夫。班長はやらなくていいから』と仲間に入れてくれました」と振り返る。以来、食品や日用品の多くをコープで賄ってきた。野菜や肉・魚だけでなく、長期保管が可能な「CO・OPモーニングクロワッサン」や、同居する息子の好きな納豆などをよく頼む。

現在グループは喜美代さんを含めて4人。「うちの前を配達場所にしてくれて、誰かしら私の分を渡してくれます。重いときは家の中まで運んでくれます」と感謝する。


目の不自由な人のために、1990年に宅配の商品カタログを読み上げて録音したカセットテープを届ける「リーディングサービス」が導入されると、すぐに利用し始めた。現在は『ハピ・デリ!』などの内容が専用のCD(デイジー図書版)で届けられ、コープデリグループで約500人が利用している。5000点ほどの商品情報が専任の職員や自動音声で読み上げられるため、1回の注文分で約25時間にもなる。専用の機器で速度を上げて再生し、ページを飛ばすなどしても時間がかかる。でも、これがあれば自分で商品を選ぶことができる。喜美代さんは何日かに分けて聞き、買いたい商品を点字でメモして、まとめて電話注文している。近所の友だちが注文書に記入してくれることも多い。「調理方法の確認などもしてくれます。こうした人とのつながりがなかったら、きっと大変ですね」

2025年11月には、コープみらいでのリーディングサービス利用者を対象にした懇談会に参加。宅配センター長や、同じ境遇の組合員と交流した。「駅から会場までセンター長さんが誘導してくれたり、点字の資料を用意してくれたりと配慮がうれしかった。利用者同士で情報交換もできて、楽しかったわ」と喜美代さん。長年利用するリーディングサービスへの愛着も新たにした。「毎回膨大な量の商品情報を吹き込んでくださる方、注文内容を丁寧に復唱してくださるコールセンターの方には感謝しかありません」

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届いた商品は、大体の物は触れば分かるが、冷凍食品の区別は難しい。「魚の切り身だと思って友だちに確認したら、チョコバナナだったこともあります」と笑う喜美代さん。前向きな姿勢や明るさは、6歳まで過ごした奄美大島で育まれたものかもしれない。昔は障がい児を家から出さないことも多かったが、喜美代さんは島のおおらかな人々に囲まれてのびのび育った。

今は、趣味のコーラスやサウンドテーブルテニス(視覚障がい者が行う卓球)を楽しむ日々を送る。「おいしい食べ物があるとうれしい。元気なのはコープのおかげ」と話す喜美代さんは、これからもできることはできるだけ自分でやりたいと思っている。

illustration:Maiko Dake

※このお話は、実際にあったコープに関わる人と人との交流を取材し、物語にしています。登場する人物の名前は仮名の場合があります。

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