人と人 つながりの物語 コープデリグループの組合員数は約550万人。組合員の皆さんの数だけ、物語がある。その物語を毎月一つお届けしていきます。描いているのは皆さんのくらしとコープデリの接点。あなたの物語はどんな物語ですか。人と人 つながりの物語

エピソード62雪の日もありがとう

2026年1月22日 UP

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エピソード62のイラスト

長野県の最北端にある栄村。山深い集落のひとつで、勝子かつこさんは83年間暮らしている。うっかり扉を閉め忘れると、家の中に入った猿にお供え物をとられることもあるという山の中だ。街への移動には予約制の乗り合い交通を利用するが、一番近いスーパーまで1時間ほどかかる。今は一人暮らしの勝子さんにとって、生鮮食品や調味料、洗剤など多くの生活必需品を届けてくれる生協の配達は、なくてはならないものだ。「生協さんが来てくれて助かるよ。冬は特にありがたい」と感謝する


栄村は積雪量が日本一を記録したこともある豪雪地で、昨冬の大雪では4メートル近く積もった。周辺の道路は雪が降り始める11月から5月ごろまで閉鎖され、除雪される国道など限られた道しか使えない。コープながので栄村を担当するのはコープデリ中野センターで、配達担当は顔なじみの2人が1年交代で来る。「今年は三ツ井みついさん。いい人だよ。私がふざけて『これは何ですか?』と注文書のビールを指して聞くと、「力が出るもの」なんて言う。私がビールをよく頼むから。冗談が通じる人で、面白い」と勝子さんは笑う。

家の周りには山の水を流していて、道路に雪が積もることはほとんどないが、大雪の日は融雪が間に合わないことがある。そんなときは集落の下でトラックを停め、三ツ井さんは勾配のきつい道を登って商品を持ってきてくれる。「取りに行くから無理しなくていいよって言うんだけど、私が行く前にさっさと歩いて来ちゃうんだよね」


「勝子さんのお宅に配達する木曜日は、野沢温泉村など合わせて30軒ぐらいまわります。勝子さんの家は山の上。同じ集落で4軒配達しています」と説明する三ツ井さんは、もう5回ほどこのコースを担当している。「冬は林道が封鎖されるため、いったん新潟県に入り、国道を上っていきます。雪の日は谷から風が吹き上げてくると、真っ白になって道路も何も見えなくなるから、車を停めて視界が戻るのを待ち、少しずつ進みます。それで配達が遅れることもありますが、組合員さんは『いいよ、いいよ』と言ってくれます。待っている人がいるから、行かなきゃいけませんね」

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勝子さんは、2人の娘を育てながら保育士として42年間働いた。夫は50代で他界し、同居していた実母と母方のいとこもみとった。娘たちはそれぞれ結婚して県内で暮らしている。「自分の食べるものだけ用意すればいいから、一人暮らしは気楽だよ。娘がお米を送ってくれるし、雪下ろしは行政がやってくれる。必要な物は生協さんが届けてくれる。みんなに助けてもらっているから、何も不自由はないね」

山の木々が色づく春と秋。短い夏と長い冬。この秋の紅葉は、特に美しかった。いつかは山を下りなければならないだろう。でも、元気なうちは生まれ故郷を離れたくない。今の一番の楽しみは、近所の茶飲み友だちとお菓子や果物をつまみながら、おしゃべりする時間だ。

illustration:Maiko Dake

※このお話は、実際にあったコープに関わる人と人との交流を取材し、物語にしています。登場する人物の名前は仮名の場合があります。

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