エピソード62雪の日もありがとう
2026年1月22日 UP
長野県の最北端にある栄村。山深い集落のひとつで、
栄村は積雪量が日本一を記録したこともある豪雪地で、昨冬の大雪では4メートル近く積もった。周辺の道路は雪が降り始める11月から5月ごろまで閉鎖され、除雪される国道など限られた道しか使えない。コープながので栄村を担当するのはコープデリ中野センターで、配達担当は顔なじみの2人が1年交代で来る。「今年は
家の周りには山の水を流していて、道路に雪が積もることはほとんどないが、大雪の日は融雪が間に合わないことがある。そんなときは集落の下でトラックを停め、三ツ井さんは勾配のきつい道を登って商品を持ってきてくれる。「取りに行くから無理しなくていいよって言うんだけど、私が行く前にさっさと歩いて来ちゃうんだよね」
「勝子さんのお宅に配達する木曜日は、野沢温泉村など合わせて30軒ぐらいまわります。勝子さんの家は山の上。同じ集落で4軒配達しています」と説明する三ツ井さんは、もう5回ほどこのコースを担当している。「冬は林道が封鎖されるため、いったん新潟県に入り、国道を上っていきます。雪の日は谷から風が吹き上げてくると、真っ白になって道路も何も見えなくなるから、車を停めて視界が戻るのを待ち、少しずつ進みます。それで配達が遅れることもありますが、組合員さんは『いいよ、いいよ』と言ってくれます。待っている人がいるから、行かなきゃいけませんね」
勝子さんは、2人の娘を育てながら保育士として42年間働いた。夫は50代で他界し、同居していた実母と母方のいとこもみとった。娘たちはそれぞれ結婚して県内で暮らしている。「自分の食べるものだけ用意すればいいから、一人暮らしは気楽だよ。娘がお米を送ってくれるし、雪下ろしは行政がやってくれる。必要な物は生協さんが届けてくれる。みんなに助けてもらっているから、何も不自由はないね」
山の木々が色づく春と秋。短い夏と長い冬。この秋の紅葉は、特に美しかった。いつかは山を下りなければならないだろう。でも、元気なうちは生まれ故郷を離れたくない。今の一番の楽しみは、近所の茶飲み友だちとお菓子や果物をつまみながら、おしゃべりする時間だ。
illustration:Maiko Dake
※このお話は、実際にあったコープに関わる人と人との交流を取材し、物語にしています。登場する人物の名前は仮名の場合があります。





