エピソード48熱意に応える対応
2024年9月19日 UP
コープデリで取り扱う商品の残留農薬や放射性物質の検査などを行っているコープデリ商品検査センター(埼玉県さいたま市)に、山梨県に住むOさんから問い合わせがあった。当時中学3年生の娘さんが発酵について研究しているので、みそに関する詳しい資料があれば提供してもらえないかという。対応した
しかし、みそに関する企画の資料は参加者用のため公開できず、「じゃあ何ができるだろう」と考え、見学に来てもらうことを思い付いた。商品検査センターは組合員などの見学を受け入れており、実験もできる。山梨県はコープデリグループの事業エリアではなくOさんは組合員ではないが、少しでも役に立ちたいという山口さんの気持ちが通じ、上司からもOKが出た。「発酵の専門機関ではないので、どれだけ力になれるか分かりませんでしたが、実験担当にも相談して対応してもらえることになりました」
普段見学に来るのは学校など団体がほとんどで、個人はめったにない。話を聞いた実験担当の
「娘さんは実験をすごく楽しんでくれました。みその酸度を測る実験では、『乳酸量が測れるのは面白い』と言っていました。みその熟成期間が長いと、それだけ乳酸量が多く酸味が強くなるんです。そういった知識を実験で確認できたのがうれしかったのでしょう。お母様にも『今まで感じていた疑問が解消されました』とおっしゃっていただけました」娘さんの言葉数は多くなかったが、いろいろな施設に出かけて専門知識を深めているようだった。「研究に真剣に向き合う姿勢が素晴らしくて。その熱意に応えたくて、自分の知識や渡せる情報は全て提供しました」と小池さんは笑う。
来館から1年ほど過ぎたころ、所用でメールを送った山口さんに返信する形で、Oさんから連絡があった。娘さんの研究発表が中学校の卒業式で表彰されたといい、資料が添付されていた。実験結果を中心にまとめられており、中学生がまとめたとは思えないその内容に驚くとともに、うれしく誇らしい気持ちになった。「ホームページで見学を受け付ける場合、どんな想いで来館されるか私たちにはわかりません。これほどの想いを知った上で対応できたのは初めてで、達成感がありました」
Oさんからのメールには、コープのトラックを見るたびに当時の体験を思い出して家族で話していること、親子にとって大切な思い出になったことがつづられていた。山口さんと小池さんにとって、今回の対応は特別なことではない。その都度、相手の想いをくんで対応すること。Oさん親子が熱心だったからこそ、その熱意に応えることができたのだろう。
illustration:Maiko Dake
※このお話は、実際にあったコープに関わる人と人との交流を取材し、物語にしています。登場する人物の名前は仮名の場合があります。
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