エピソード43生まれ育ったこの場所で
2024年3月21日 UP

「私はこの土地で生まれて育ちました。ここが私の故郷なんです。今コープがあるこの辺りは、私が子どもの頃は見渡す限り畑や田んぼが広がって、
大学生になる頃に区画整理があって町ができ始め、大学を卒業して戻ってきた頃にはまったく違った町になっていました。コープが出店したのは15年ほど前、比較的早い段階にできたお店でした。今では若い家族も多く暮らす、にぎやかな町になりました。コープは地域でとても愛されていると日々感じながら、私はこの店で働いています」
とちぎコープのコープ鶴田店で働く高橋
「息子は通信制の高校で学びながらアルバイトしていて、『楽しい』って言っています。周りの方々が『一生懸命やってるね』って認めてくれることがすごくうれしいみたい」と母の顔で語る。

コロナ禍前、高橋さんはとちぎコープの店舗職員による「委員会」のひとつ、「イベント委員会」の委員長をやっていたことがある。
「みなさんに喜んでもらいたい、笑顔を見たいんです。それが自分の喜びというか。当時息子に『小学校でスーパーのことを勉強しているよ』と聞いて、社会科見学のようなイベント『バックヤードツアー』を地域の子どもたち向けに企画しました」
30~40人のさまざまな学年の子どもたちと、数人の保護者が参加した。大切なことは、まず最初に約束事を伝え、子どもたちの安全を守ること。店でやっている手洗いの仕方も細かく伝えた。水産、農産、畜産の職員の協力を得て事前に包丁の型を取り、計10種類ほどの包丁の模型をそっくりに作った。段ボールにキラキラしたテープを巻いて刃に見立て、柄はマスキングテープを巻いた。そして当日は各部門のチーフにお願いして順にバックヤードを回った。それぞれの仕事を語ってもらい、何を切るときにどんな包丁を使うのか一つ一つ説明した。
「用途によって大きさも形も全部違うんです。具体的に話すと、子どもたちは食いつくように話を聞いてくれました。みんな楽しそうでした。またやりたいです」
地域におけるスーパーの役割を知ってもらいたい、もっと店を好きになってもらいたいという高橋さんの思いが伝わったかのように、アンケート用紙にはたくさんの感想の声が寄せられた。
「食べ物って自分の身体に息づいていくものだから大事ですよね。ここで働きながら、コープにいらっしゃるお客様ってコープの商品を大好きでいてくださることを実感しています。
店で働く一人ひとりの力は小さいけれど、一人ひとりの努力で店は作られています。みんなで助け合わないと店ってできないです。だからお互いを認め合って尊重して働いていきたいです。お店の人同士の雰囲気がいいと、きっとお客様にとっても居心地のいい店になると思います」と高橋さん。
生まれ育った町で見つけた居場所で、高橋さんは今、輝いて幸せに働いている。
※……牛乳・乳製品・パン・豆腐など毎日店に配送される品で、消費期限・賞味期限の短い食品のこと
illustration:Maiko Dake
※このお話は、実際にあったコープに関わる人と人との交流を取材し、物語にしています。登場する人物の名前は仮名の場合があります。
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