エピソード42未来につながる仕事
2024年1月18日 UP
コープみらいの人事部人事課には、ベトナム人職員が1人いる。
31歳の女性、カオ・ティ・ジェム・フェンさんだ。フェンさんは、ベトナム南部のカントー出身で、地元の短期大学を卒業後、看護師になった。その後転職を考え、2017年に留学生として日本へやって来た。日本語学校で1年半勉強、さらに2年間ビジネスの専門学校へ通って就職活動をした。ホテルに就職が決まったところでコロナ禍に。内定を取り消されてしまった。そんなときに縁あって、コープみらいで働くことになった。
正規職員になって間もなく1年だ。業務は店舗で研修する外国人技能実習生の社宅訪問、面談、職場での立ち会いなど。話し合いの仲介に入ることも。現在、36人の外国人技能実習生が10店舗で研修中だ。
「日本で困ることってたくさんあります。私は日本語を勉強してきたのに全然聞き取れなくて、アルバイトに応募しても何を質問されているのかわからなくて受からない。やっと始めたアルバイト先では『拭く』って言われていたのに『服』だと思ったり……。外国人技能実習生たちに、私の経験が役に立つと思いました」
フェンさんは外国人技能実習生の最初のベトナム-日本間のオンライン面接の立ち会いから、受け入れや社宅備品など、安心して暮らせるように準備をする。無事に入国した後は、各店舗へ配属される前の研修期間にルールや文化の説明、翻訳などをしている。業務中や社宅でトラブルが発生したときにも出向く。
「実習生は指導員(惣菜担当のチーフなど、上司)の指導のもと、研修を行います。ほとんどのトラブルは言葉の壁や文化の違いによる誤解です。みんなチーフの言っていることがわからなくても注意されると『はい』と答えてしまう。そういうときは一人ひとりの話を聞いてから店長も含めて話し合います。
あとはベトナム人同士でのトラブルもあります。一緒に料理を作って食べたりしていると、金銭トラブルが起きることもあります。そういうことを大変だとは思いません。解決できない問題は大変って思うけれど、解決できる問題はすべて経験です」
フェンさんは、コープで働き始めて新しい目標を見つけた。
「最初、私の仕事は通訳と翻訳だけだと思っていました。ですが、人事課の一員として仕事をして、いろいろなことを教わっています。本当に素晴らしい経験です。最近は、年2回の実習生同士のレクリエーション交流会の企画を立てて、企画書を作りました。それを上司に見てもらったら修正が少なかったのでうれしかったです。
私は日本へ来て6年目だから、日本語能力は小学校1年生と同じ。自信はまだ持てません。言いたいことがまだ言えないこともあるし、言葉がわかってもちゃんと物事の背景まで理解しきれていないなと感じる場面もある。わからない言葉はすぐにノートに書いて、職場の皆さんの話し方も真似して、ビジネスマナーも勉強しています。この先、人事課の仕事を手伝えるようになりたい。コープが外国人技能実習生にベトナム人を選んでくれて本当に良かったと思っています」
フェンさんは先輩たちがしっかり研修することで、まだベトナムにいる後輩たちがまたコープに来ることができるという未来を見据えながら、希望を両手に抱えて仕事をしている。
illustration:Maiko Dake
※このお話は、実際にあったコープに関わる人と人との交流を取材し、物語にしています。登場する人物の名前は仮名の場合があります。
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