人と人 つながりの物語 コープデリグループの組合員数は約530万人。組合員の皆さんの数だけ、物語がある。その物語を毎月一つお届けしていきます。描いているのは皆さんのくらしとコープデリの接点。あなたの物語はどんな物語ですか。人と人 つながりの物語

エピソード38アシナガバチの職員さん

2023年8月17日 UP

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エピソード38のイラスト

群馬県桐生市で夫と2人で暮らす40代半ばの優子さん。2年前の夏、午後3時過ぎにパート勤務から帰宅すると、玄関にアシナガバチらしき大きなハチが止まっていた。優子さんは子ども時代に2度ハチに刺された経験があり日頃から気をつけていたが、ハチはドアノブに止まったまま。怖くて家に入れない。周辺は一軒家が並んでいる路地で人影はなかった。

30分ほど途方に暮れた。そこへやってきたのがコープデリ桐生センターの配達担当、谷遼太さんと小暮光昭さん。近くにトラックが止まった。谷さんと小暮さんは仕事の引き継ぎを行っている最中だった。優子さんは「助けてください」と声をかけた。

優子さんは生家の近所にコープのお店があって、子ども時代からよく行っていた。“レジのお姉さん”に憧れて、高校時代の3年間と期間を空けてその後も2度、コープのお店でアルバイトをしていたことがあった。コープには親近感を持っていた。
「コープのトラックだなっていうのはわかりました。2人はすぐに来てくださって、様子を見てわかったといってすぐ退治してくださいました。そのときに、ハチに向かって『ごめんね、ここに来ちゃだめだったんだよ』と言っていました」

こうして、無事に家に入ることができたのだった。優子さんはこの出来事を、コープぐんまの本部に電話で知らせることにした。
「2人は嫌な顔ひとつせず、困っている人がいたら助けるのは当たり前というスタンスでした。退治しなくちゃいけなかったんだけど、なんだかハチにもやさしく声をかける姿に感動してしまったんです。私が報告しなかったら、きっとこういうことがあったってこと自体も知られないのではないかと思いました。自分たちから話すような人たちじゃないだろうなって。こういう素晴らしい人がいるということを知ってほしいと思ったんです」


それから1年が経った頃、優子さんは事務職に転職した。帰宅時間が遅くなったことがきっかけで、コープデリ宅配を利用し始めることにした。
「宅配を申し込む際、営業の方がうちに来てくれたとき、『このあたりの配達を担当している方で、1年前にこういうことがあったんですが、まだいますか?もしもいたら、よろしくお伝えくださいね』って伝言しました」

配達が始まると、毎週水曜日夕方にやってくるのは、助けてくれた職員の小暮さんだった。
「『あのときはありがとうございました』って言ったら『あー、そんなこともありましたね』って笑っていました。普段はちょっとだけ雑談します。やっぱり受け渡しは丁寧で、例えば冷たいものが入っているビニールが濡れていたら拭いてから渡してくれたり、細やかな仕事をされる方です。

今になって思い返すと、コープのお店は幅広い世代の方々が働いていて、高校生だった私にとって、やさしいけれどきちんとした仕事を教えてくれる場所でした。例えば『おつりで千円札を何枚か渡すときは、向きを揃えるのよ』とか。人と接する仕事の所作や言葉遣いを教わったなって思います」

優子さんが必ず宅配で注文するのは、牛乳やたまご、納豆など、それにお気に入りは無塩せきのウインナーやハム、ベーコン。野菜も新鮮でいい。職場の先輩に「これおいしいよ」と勧められたものを注文してみたり、カタログの『ぐるめぐり』も好き。宅配のある生活を楽しんでいる。

エピソード38のイラスト

illustration:Maiko Dake

※このお話は、実際にあったコープに関わる人と人との交流を取材し、物語にしています。登場する人物の名前は仮名の場合があります。

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