人と人 つながりの物語 コープデリグループの組合員数は約530万人。組合員の皆さんの数だけ、物語がある。その物語を毎月一つお届けしていきます。描いているのは皆さんのくらしとコープデリの接点。あなたの物語はどんな物語ですか。人と人 つながりの物語

エピソード35小さなたくさんのハート

2023年5月18日 UP

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エピソード35のイラスト

山崎正子さんは、コープの組合員になって約30年、「くらしのたすけあいの会ミニハート」のコーディネーターを務めて1年が経った。

この活動は“困ったときはお互いさま”の精神のもと、援助会員となった組合員の皆さんが、近くに住む産前産後の人や高齢者など、日常生活の中で困りごとのある組合員さんを、できる範囲で助ける有償のボランティアだ。コーディネーターは両者を結び付ける役割を担っている。
「困っていても声をあげられない人もいると思います。だから、声をあげた人の相談には少しでもこたえたい。あくまでもボランティアなので、お互いに無理はせず、人それぞれ考え方や背景も違うので、どんなふうに接したらいいのかなといつも考えています」と山崎さんは言う。

山崎さんが援助会員になったのは6年前。子育ても一段落したし、登録しておこうかな、くらいの軽い気持ちで始めた。そして昨年、彼女が担当していたエリアでコーディネーターが不在になり、誰かがやらなければと思ったのだ。依頼数に対して、援助会員が足りていないのが実情だった。


そんな山崎さんの自宅へ、毎週月曜日に宅配の商品を届けているのは、コープデリ西浦和センターで働く遠藤真利子さんだ。出産を経て、昨年5月に復職し、このエリアの配達を担当している。

山崎さんは遠藤さんの働きぶりを間近に見て、その一生懸命な姿と正確さに感心し、信頼を寄せていた。そして夏のある配達の日、いつもの会話の延長で遠藤さんに、「誰か私たちと一緒にミニハートの活動をやりたい人を知らないかしら?」と話してみたのだった。
「恥ずかしながら、私は職員なのにこの活動自体知らなかったんです。山崎さんに詳しく聞いて、自分も助けが必要になることだってあるかもしれないし、誰にとっても関係のあることだなって思いました」と遠藤さん。

話を聞いた遠藤さんは、『援助会員を募集しています ミニハート』という内容のチラシを作成し、自分の配達先で配ることに決めた。内容をミニハートに事前に確認してもらい、上司であるセンター長にも相談し、西浦和センターの職員全員に配達先で配ってもらえることになった。
「うれしかったです。遠藤さんが作ってくださったチラシで、すぐに援助会員への応募がありました。その女性は、料理はあまり得意ではないと言っていたんですが、病気のため家事が困難になってしまったという方から援助の依頼があって、ご近所で担当してくれたんです。依頼主に教わりながら料理もしているって。自分のためにもなったみたい」と山崎さんが笑顔で言う。

エピソード35のイラスト

「ミニハートの活動は、例えば子育て支援だったら、生後2カ月の赤ちゃんがいるお宅へ回数を決めて、洗濯や片付け、買い物、病院への付き添い、夕食づくりのお手伝いなんかをするんです。赤ちゃんが1歳とかになって大きくなるのはもちろんなんですけど、お母さんがその間に本当に優しい“お母さんの顔”になるんです。そんなときはいつも、素敵な変化を発見したな、と思います」と続けた。

山崎さんはこの人と人をつなげる役割を、今も悩みながら務めている。悩みながらも、遠藤さんをはじめ多くの人の善意に触れ、ミニハートでしか得られない経験を重ねている。

※コープみらい 埼玉エリアでの会の名称。地域によって名称や活動の詳細・規定は異なります

illustration:Maiko Dake

※このお話は、実際にあったコープに関わる人と人との交流を取材し、物語にしています。登場する人物の名前は仮名の場合があります。

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