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エピソード1515の冬に知ったこと

2021年6月17日 UP

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エピソード15のイラスト

コープが取り組む活動の一つにフードドライブ※1がある。困っている人たちに食べ物を届ける仕組みだ。今回はそれにまつわる物語。

高校1年生の宗像むなかた寿樹としきくん(15歳・埼玉県在住)は、自分をおとなしい性格で引っ込み思案だという。将来の目標は大学で建築学を学ぶこと。祖父が大工、父親は不動産業で働いている。母親は長年コープの宅配を利用しており、コープ商品には馴染みが深い。特に好きなのはコープ牛乳だ。

中学2年の冬、ニュースで見た子どもの貧困について、気になってインターネットで調べた。日本では7人に1人の子どもが経済的に困窮し、中には今食べるものにも困っている子どももいるという。一方で、年間612万トンの食料品が廃棄されていることを知った。「食品ロス」である。

中学3年になると、授業の一環で奉仕活動をする。彼は少しでも子どもの貧困と食品ロスの解消につながる活動がしたいと思った。コロナ禍で、失業する人も多いというニュースに心を痛めた。
「自分が暮らす町の皆さんに、食料品を寄付してほしいと呼びかけることにしました。自治会の人に協力をお願いしようと思いました」

宗像くんは自分の計画と目的・意図を書いた計画書を自治会の副会長に渡した。計画は《12月23日から30日までの8日間、家庭で余っている食料品を集めたい。そして、困っている人たちを助けたい》そう書いたチラシを500枚、自分で作って近所の家に配布する。集まった食料品は、フードドライブを実施しているコーププラザ春日部※2に持参して寄付する、というものだった。副会長は協力を約束してくれた。

エピソード15のイラスト

計画は予定通り進んでいたが、実際に食べ物が集まるだろうかと不安だった。開催期間は冬休み中。授業もあったが、行ける時間は自治会館で待つことに決めた。
「43人、持って来てくれました。こちらが感謝すべきなのに、逆に『ありがとう』『お疲れさま』と言われました。持って行くのが大変という人のところにはもらいに行きました」

集まった食料品は190kgに及んだ。お米、お茶、お菓子、カップラーメンなど。彼はこれだけあれば、かなり大勢の人を助けられるんじゃないかと思った。副会長にお礼を言うと、「自分たちが暮らす地域の子どもたちが、こんな活動をしてくれるようになってうれしい」と逆にほめられた。

年明けに、父親の車でコーププラザ春日部に食料品を届けた。彼が届けた量は過去1年間でここに集まったのと同じ量だった。翌日、コープから電話で「無事フードバンク※3に届きました。ありがとう。特にお米は助かりました」と感謝された。

「かなり勇気がいりました。でも、自分が正しいことをやろうと思えば、社会はきちんと応えてくれる。そのことがわかりました」と宗像くんは振り返る。そして、この活動※4を今後も続けていきたいと考えるようになった。

「ものごとは挑戦しないと何も始まらないということがよくわかった。これからは挑戦する前にあきらめることはしない。自分の引っ込み思案の性格も少しずつ変えていきたい」彼はそう言った。

15歳の冬、彼は人生で大切なことを学んだ。
自分がやりたいと思ったことを実現するためならば、人は力を出すことができる。宗像くんは現実のなかで行動して、そのことを身をもって知ったのだ。

※1・3...家庭で余っている賞味期限が十分に残った食べ物を持ち寄り、寄付する活動(一部地域で実施しています)。フードドライブなどで集まった食品を、さまざまな理由で食べるものに不自由している方々に配給する活動及びその活動を行う団体をフードバンクという

※2...組合員の皆さんの地域に根付いた活動や、地域の集まりやイベントなどを行う施設

※4...2021年4月にも約98kgの食料品を寄付してくださいました

illustration:Maiko Dake

※このお話は、実際にあったコープに関わる人と人との交流を取材し、物語にしています。登場する人物の名前は仮名の場合があります。

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