人と人 つながりの物語 コープデリグループの組合員数は約500万人。組合員の皆さんの数だけ、物語がある。その物語を毎月一つお届けしていきます。描いているのは皆さんのくらしとコープデリの接点。あなたの物語はどんな物語ですか。人と人 つながりの物語

エピソード3火曜3時は 私たちのお茶会

2020年05月21日 UP

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エピソード3のイラスト

場所は千葉県、旧江戸川近くのとある町。
「今日は、台風15号の産地応援商品だったシルクスイートでスイートポテトを作ったの」とお皿を差し出すのはカズコさん。
「すごーい、おいしそう」「甘かったよね、あのさつまいも。シルクみたいになめらかな食感だからシルクスイートっていうのかな」「裏ごしが一番大変だからね。繊維が少なくて良かったね」「台風の被害にあったって感じではなくて、きれいなさつまいもだったね」

話に花が咲く。

火曜日午後3時、ぽつぽつと集まってくる女性たち。毎週、ゆるりとお茶会が始まる。この日は雨が降りそうな天気。ガレージの中にレジャーシートを敷き自由に座る。ポットに入った温かい紅茶や緑茶もある。
「サンドイッチや、寒い季節には豚汁とかおしるこを作るときもあります。グラタンを作ったこともあったね」

現在、コープデリ宅配は個人宅配が主流だが、カズコさんと妹ヨシコさんは30年間グループ配達を利用している。
「昔は5人いないと配達してくれなかったから、引っ越してきた近所の方に一緒にやりませんか?と声をかけられたのが、コープの宅配を始めたきっかけでした」とカズコさん。今日のメンバーは他に、ユキエさんとイクエさん。2人は組合員になって20年。持ち寄ったお菓子を並べていると、コープのトラックが前に止まった。軽やかな足取りで荷台を開け、次々と商品を降ろす職員が山腰やまこしさんだ。
「山腰さーん、先々週お勧めされたさつまいもでお菓子を作ったから、休憩がてら食べて行ってね」「動きはテキパキ、重いものも持ててすごいの」「こういう商品あるかなと聞くとすぐにわかるの」「『これおいしいですよ』って勧められたらだいたい買ってしまうよね」「カタログを見ながら、あ、これはあの方が好きだなとか、あの方が好きそうだなとか、いつも考えているような人なんです。それをその組合員さんが注文していなかったらこれ載ってましたよーと教えてあげたりしている。昔はこんなにカタログも厚くなかったけど、今はたくさん商品が載ってるから見落としたりしちゃうのよ。だからすっごいありがたい。値段も見てくれていて、今日は安いですよとかね」

4人の言葉から山腰さんが絶大な信頼を得ているのが伝わってくる。山腰さんは配達のため、周辺のお宅を回り始めた。カズコさんは山腰さん手作りの担当者ニュースを見せてくれた。
「ニュースは今週で891号。最初にもらったのは334号で、手書きだから捨てられなくて。絵もかわいいし。山腰さんのお孫さんのことや、災害ボランティアに参加した話とか、興味深い話が載っていると、次に会ったときに詳しく話を聞いたりしています。とにかく、毎週来てくれるから、コミュニケーションが取れて安心なんです」

エピソード3のイラスト

商品をお宅に届ける。ただそれだけのことに見えるが、毎週築かれていった人間関係。彼女たちのお茶会はたいてい1時間ほど続く。話題は家族のこと、世の中の出来事、食のこと……。先日は最年長のユキエさんが年金を受け始め、その話で盛り上がった。時折ランチ会をしたり、カラオケを楽しむ忘年会もある。約束や急な用事でも連絡が取れるように、SNSのグループも作っている。グループ名は“生協仲間”だ。

いつからこんなお茶会をするようになったのか覚えていない。でも、週に1度のこの集まりは楽しく良い時間。20年以上、生活の歴史を共有している。
「知り合いが立ち寄ることもあるよね」「山腰さんが休みの日は別の方が配達してくれるけど、どの方もとても感じがいいんですよ」「1週間があっという間、早いよね」「そう、1年間があっという間」どんな話も彼女たちにかかれば楽しそうだ。

カズコさんが組合員になったのは30歳のとき。人生は長いのか、短いのか。彼女は今60歳。仲間と語り笑う時間が生活を豊かにする、元気に生きるけつだ。火曜日午後3時。これからもあの町では“生協仲間”の小さなお茶会が開かれている。

※ソーシャルネットワークサービス。ここではスマートフォンなどでのインターネット電話やテキストチャットのこと。複数人でやりとりをすることもできる

illustration:Maiko Dake

※このお話は、実際にあった組合員の皆さんとコープ職員との交流を取材し、物語にしています。登場する組合員のお名前は仮名です

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