エピソード69思い出輝くクリーニング
2026年10月22日 UP
昨年春に島根県で就職した
5年生のときに父に誕生日プレゼントとして買ってもらった、ゲームの人気キャラクターのルギルギは、外出のたびに連れ歩いた相棒。専用のバッグを作り、毎週預けられていた祖母の家にも一緒に行った。「寂しくなったときにぎゅっと抱きしめると、それだけで安心できた」と瑛美さんは振り返る。6年生のときに家族で訪れた水族館で出会ったサメのオーシャンは、いわば勉強応援係。受験や資格試験が体力的につらく、ベッドで横になりながら勉強していたときも、添い寝して見守ってくれた。おかげで今の仕事に必要な資格も取得。数えきれない思い出を共有してきたぬいぐるみたちは、瑛美さんにとって家族同然の存在だ。
「おそらく裕福な家庭ではなかったものの、家族からは毎日小さな幸せをもらっていた」と感謝する瑛美さん。家族からもらった大切なぬいぐるみたちは、小さい頃は食事中に抱っこしていたこともあり、食べこぼしのしみや汚れが目立ってきた。何度か自分で洗ってみたものの、思うように落ちず、きれいにすることを諦めていた。
しかし転機が訪れた。就職が決まり、埼玉県の実家を出ることになったのだ。もちろん、ぬいぐるみたちも一緒。引っ越し準備を進めるうち、「みんなにも新天地での生活を気持ちよく迎えてほしい」という想いが膨らんでいった。そこで瑛美さんは、コープみらいを利用する母が教えてくれた「ぬいぐるみクリーニング」※に出すことを決めた。汚したのは自分だから、費用もどうしても自分で払いたくて、アルバイトでお金をため、所定の箱に入れて実家から送った。「大事な子たちを預ける心配はあったけれど、生協と提携しているところなら、きっと信頼できるはず」
約3週間後、転居先で受け取った箱をドキドキしながら開けた。一体ずつ丁寧に袋に入れられたぬいぐるみたちは、「こんなにきれいにしてもらえるとは」と驚く仕上がり。くすんでいた色は本来の鮮やかさを取り戻し、頑固な汚れも消えていた。触るとふわふわで、抱きしめるとほのかに洗剤の香りがした。諦めていただけに、うれしくて涙がこぼれた。「みんなと出会ったときの記憶がよみがえって、新たにプレゼントをもらったような気持ちになって。思い切って頼んで本当に良かった。感謝してもしきれません」。すぐに母に電話をかけて報告した。「汚してしまって申し訳ない気持ちがずっとあったけれど、これで堂々と家族にも会わせられます」
ぬいぐるみたちと始まった生活にもすっかり慣れ、任される仕事も増えた。この先もずっと、みんながそばにいる。もしまた汚れてしまっても、きれいにしてあげられることが心強い。「みんな、これからもたくさんの思い出を一緒に作ろうね」
※ コープデリグループの(株)コープデリサービスが行う「くらしのサービス」の一つ
→https://cs.coopdeli.coop/lifenavi/service/index.html(「コープデリ くらしのサービス」サイト)
illustration:Maiko Dake
※このお話は、実際にあったコープに関わる人と人との交流を取材し、物語にしています。登場する人物の名前は仮名の場合があります。





