エピソード57石井さんのオムライス
2025年8月21日 UP

千葉県・南房総で暮らすまゆみさんの家には、毎週土曜日、近くに住む孫が遊びに来る。小学4年生のマナちゃんだ。冷凍食品の「CO・OPふっくら卵のオムライス」が大好きで、来るたびに「石井さんのオムライス、食べてもいい?」とおねだりされる。“石井さん”とは、まゆみさん宅に来るコープの配達担当者のこと。初めはおばあちゃんの家で食べたので「ばばのオムライス」と呼んでいたが、まゆみさんが「生協さんで買ったのよ」と言うと「生協さんのオムライス」になり、さらに「担当の石井さんが持ってくる」と伝えると「石井さんのオムライス」になった。
「一度出したら気に入って、来るたびにリクエストされるので、マナのために買い置きしているんですよ」とまゆみさんは明かす。きっかけは、同じコープを利用する友人に「オムライスがおいしいよ」と聞き、石井さんに尋ねたところ、「この商品ですね」と教えてもらったこと。マナちゃんにお土産としても渡すようになると、「石井さんのオムライス」はマナちゃんの家でも欠かせないものになった。お母さんが仕事で帰りが遅くなったとき、夕飯までのつなぎとして定番になったのだ。電子レンジで温めるだけ、小腹がすいたときにちょうどいいサイズで、食べた後もマナちゃんは夕飯をしっかり食べられるという。
配達担当が石井さんになったのは約3年前。「話しやすい人で、来るたびに玄関でおしゃべりを楽しんでいます。ふだんは夫と二人きりだから、たわいない話でもうれしくて」とまゆみさんは朗らかに笑う。「担当者ニュースに載っている手書きのメッセージが大好きなんですよ。大学生の娘さんの誕生日にしゃぶしゃぶを食べに行ったとか、息子さんの靴の底が取れてえらく高い靴を買わされたとか、ご家族のほのぼのしたエピソードが多くて。気持ちがほっこりするんですよね。今度はどんなこと書いてあるのかなって、夫と二人で楽しみにしています」
配達は毎週火曜の午後、学校から帰ったマナちゃんを預かる日は一緒に宅配を受け取っている。マナちゃんは石井さんを「オムライスのおじちゃん」と呼び、一緒におしゃべりを楽しんでいる。

まゆみさんは、一度就職してお金をためた後、短大に入って幼稚園教諭と保育士の資格を取り、58歳で辞めるまで33年間、3人の子どもを育てながら働いてきた。「40人近い3歳児を一人でみているときはお手洗いにも行けず、大変でした。でも、お母さんたちが気持ち良く働けるようがんばらなきゃと思っていました」と振り返る。最近はコープデリミールキットもお気に入りで、「10分ぐらいでできておいしいし、外食するより安い。考えた人はすごいと思います。これがあれば、忙しいお母さんたちも助かりますよね」と話す。
今も子どもが大好きで、マナちゃんを含めた5人の孫がかわいくて仕方がないまゆみさん。少し前には、遊びに来た他の孫二人にオムライスを持たせ、また遠方に住む別の孫からは、電話で「今度遊びに行くときに食べさせて!」と言われている。「石井さんのオムライス」ファンは、これからますます増えそうだ。
illustration:Maiko Dake
※一部店舗のない生協・地域があります。
※このお話は、実際にあったコープに関わる人と人との交流を取材し、物語にしています。登場する人物の名前は仮名の場合があります。
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