人と人 つながりの物語 コープデリグループの組合員数は約520万人。組合員の皆さんの数だけ、物語がある。その物語を毎月一つお届けしていきます。描いているのは皆さんのくらしとコープデリの接点。あなたの物語はどんな物語ですか。人と人 つながりの物語

エピソード32目で見て知ること

2023年2月16日 UP

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エピソード32のイラスト

新潟県出身の石沢朋也さんは、神奈川県内の大学で社会学を専攻し昨年3月に卒業、故郷に戻りコープデリにいがた コープデリ下越センター(新潟市)で配達業務に携わるようになった。

同8月、北日本を中心に豪雨が2日間降り続き、県北の村上市・関川村で土石流が発生、土砂流入による家屋破壊や自動車が流される被害を生んだ。当日の配達を断念せざるを得ない地域が出る混乱した状況だった。コープデリにいがたはその4日後、両地域の組合員の皆さん約1500世帯に、通常の宅配商品の配達に加えて、ミネラルウォーターやタオルのお届けを開始した。この頃、職員たちには被災者支援のボランティア活動の参加者を募る知らせが届いていた。コロナ禍で人手が不足していた。石沢さんはすぐに参加を決めた。被害地域を担当する同僚に「雨の威力がすごいぞ」と聞いていたからだ。

彼が新潟県に戻ってコープに就職して働こうと決めたのは、大学で地域活性化という問題に取り組んだこともあるが、コープの商品を食べて育ち、共働きで帰りが遅かった両親の「コープの宅配があって助かる」という言葉が記憶に残っていたこともある。
「新潟では僕が子どもの頃から災害は起きていて、ボランティア活動を見てきました。今回も気にはなっていたけれど、経験もないし、コロナもあるし、行っていいのかもわからなかったんです。だから募集を目にしてよかった」と石沢さんはいう。


ボランティア活動はこんなふうにして行われた。
「午前は偶然、組合員さんのお宅でした。場所は、土地がすり鉢状のところで、1軒だけ被害を受けていました。土砂をかぶってしまった家具や、木の味噌樽みそだるを家や蔵の中から出すお手伝いをしました。午後は、しいたけを栽培するハウスで、土砂だらけの栽培ラックを高圧洗浄機で洗って、黙々と作業しました」

現場では、ボランティア経験者が割り振りを決めて的確な指示を出し、効率良く作業ができた。限られた時間で作業するためには、ただ人手があるだけではなく、チームとして力を発揮することが大事なのだと石沢さんは学んだ。

エピソード32のイラスト

「被災した方と、どんな話をしたらいいのかもわからなかったのですが、印象深かったのは、どちらの方々も明るかったということ。午前の作業休憩中には、甲子園(全国高校野球選手権大会)をテレビで見ながらお茶を飲んだり、午後の作業後には『これなら、9月には栽培を再開できそう』ってしいたけの生産者さんが言っていて、めっちゃ前向きだな、すごいなって。ボランティアに来た自分たちをねぎらう意味でも元気に振る舞っていたのかもしれない。それでも、こちらがエネルギーをいただいた気分でした」

この経験が自分に何をもたらしたのか、彼は特別に意識したことはなかった。けれども、次にこういう機会があったら自分から動くことができるだろうという感覚はある。
「この先、自分の言うことに説得力が出るように、仕事もしっかりしていきたいです。ボランティア活動も、周りにも声がけして仲間で参加できるようになれたらいいですよね。頼りがいのある人間になりたいです」と笑った。

これから石沢さんは、いろいろな経験をして成長していくだろう。その先には、帰郷を決めたこころざしが形になっていく未来があるのではないか。

illustration:Maiko Dake

※このお話は、実際にあったコープに関わる人と人との交流を取材し、物語にしています。登場する人物の名前は仮名の場合があります。

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