人と人 つながりの物語 コープデリグループの組合員数は約520万人。組合員の皆さんの数だけ、物語がある。その物語を毎月一つお届けしていきます。描いているのは皆さんのくらしとコープデリの接点。あなたの物語はどんな物語ですか。人と人 つながりの物語

エピソード29家は思い出の詰まる場所だから

2022年11月17日 UP

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エピソード29のイラスト

家は生活のために最も重要なもののひとつだ。株式会社コープサービスは、家のリフォーム依頼も受けている。約10年前からパートナー企業のひとつとして、リフォームを請け負っているのが株式会社南雲ハウジングだ。社長の南雲章一さんは現在37歳で、お寺の塗装などの仕事をしていた親方のもとで修業したのち独立、創業した。

2年前、千葉県内に住む組合員の山本さんから屋根・外壁塗装の見積依頼を受けて、南雲さんが調査に行った。
「『劣化状況を点検してほしい』と言われてお話をお聞きしました。築30年以上経っている一戸建てのお住まいで、年配のご夫婦がお二人で暮らしていました。旦那様は寡黙な方で、奥様は丁寧な受け答えが印象的でした」

南雲さんはいつも丁寧に依頼主の住まいの困りごとを聞き、それぞれの事情を考慮して、本当に必要なリフォームの提案をするようにしている。
「2階の部屋の壁紙に猫の爪とぎ跡があることに気がついたのですが、触れずに話を進めていると、『家の中のリフォームもやっているの?』と聞かれたんです。床鳴りの修理と壁紙の張り替えも考えられていたようでした」

内装もできることを話すと、奥さんは壁に傷があることを「恥ずかしい」と言いながら、「去年、飼っていた猫は死んでしまって、もういないんだけど…」と寂しそうに言った。

南雲さんは「爪とぎ跡を残して、壁紙をリフォームすることも可能ですよ」と提案したが、奥さんは「いいのいいの、全部きれいにしちゃってください」と言って壁紙も張り替えることになった。南雲さんはいう。
「家って多くの方にとって一生のもので、一緒に育っていく場所だと思うんです。奥様の寂しそうな様子を見て、きっとかつてはお子さんの部屋で、かわいがっていた猫との思い出もたくさん詰まっているんだろうなと思ったんです」

南雲さんは壁紙張り替えの際、猫の爪とぎ跡部分を取っておいて、写真立てに入れてプレゼントすることにした。工事最後の日は、別の現場監督に任せることになったので「最後に差し上げて」とLサイズの写真立てを託した。


エピソード29のイラスト

しばらくするとコープサービスから「お客様アンケート」で声が届いていますよ、と連絡があった。そこには思いがけないプレゼントへの喜びと、南雲さんへの感謝の言葉があった。それについて南雲さんはいう。
「特別なことじゃないんです。例えば屋根の古い瓦を、お庭で花壇の柵に使えるようにしたり。私も工事を楽しみたいんです」

南雲さんの仕事への姿勢は、若い頃、仕事がなくて大変だった時期に考えた、“自分の仕事とは何か”ということが背景にあった。
「リフォームって人に喜んでもらえて、人の気持ちを変えることができる仕事だと思うんです。これまでたくさんの工事をそう思ってやってきました」

例えばドアが開閉時に少し軋(きし)むとか、気になることがあれば、気づかれようが気づかれまいが、少しの手間で良くなることは全部やろうと決めている。
「それから、私はコープさんの『組合員さんのくらしと未来のために』という考え方にとても共感しているんですよ」そう言ってニコッと笑った。
「特別なことじゃない」という南雲さんの優しさが、これからも家のリフォームを考える組合員の皆さんを笑顔にしていくことだろう。

※株式会社コープサービスはコープデリ連合会の子会社であり、住宅事業部(コープハウジング)では家の建築をはじめ、リフォーム・修理など、住まいに関しての困りごとを解決しています

illustration:Maiko Dake

※このお話は、実際にあったコープに関わる人と人との交流を取材し、物語にしています。登場する人物の名前は仮名の場合があります。

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