エピソード59息子が紡ぐ人との出会い
2025年10月23日 UP
茨城県で夫と3人の子どもと暮らす
会場に着くまで「本当に受け入れてもらえるかな」と不安もあったが、笑顔で迎えてもらえた。息子さんのために、ホットプレートやトングなど使いやすい調理器具まで準備してくれていた。参加者は約15名、和気あいあいと4品の調理と試食を楽しんだ。息子さんは「5種の国産野菜とお米育ち豚の回鍋肉」の調理を担当。野菜などを切る必要がなく、レシピも分かりやすいから、最後までやり切ることができた。調理中も「上手だね」「頑張ってるね」とポジティブな言葉を掛けてもらった。自力で料理を作れたこと、それをみんながおいしそうに食べてくれたことが自信になり、夏休みには別のイベントにも参加することができた。
3年生まで公立小学校に通っていた息子さんは、集団行動が苦手で、幼稚園の頃から「どうしてできないの」と否定的な言葉を浴びてきた。「よほど辛かったのか、耳に石を詰めたこともありました」と月美さん。でも4年生で特別支援学校に移ると、笑顔で「いいね」「大丈夫だよ」と言ってもらえ前向きになり、見違えるように成長。高等部2年となった今、少しずつ自分の気持ちを言葉にできるようになってきた。
「振り返ると、支援学校の先生や組合員の皆さん、たくさんの人に息子が出会わせてくれました。人は一人では生きていけませんね。試食会に参加して、こんなに優しい人たちが身近にいたと知り、今まで私は怖がりすぎていたんだと反省しました」 月美さんはコープに加入して14年になるが、育児で精一杯で、総代になるまで活動内容をほぼ知らなかった。「良い食材を販売しているとしか思っていなかったので、幅広い活動を知って驚きました」と明かす。
3月からはブロック委員となり、新たな出会いや学びを楽しんでいる今、月美さんがお守りにしている言葉がある。“食べるしあわせ、自分らしいくらし 「ともに」の力で、笑顔の
※1 組合員の代表。「総代会」で生協の事業計画や予算などについて審議・議決する
※2 地域でさまざまな活動をサポートするコーディネーター役を担う組合員の集まり。地域により名称は異なります
※3 ※2を担う組合員
illustration:Maiko Dake
※このお話は、実際にあったコープに関わる人と人との交流を取材し、物語にしています。登場する人物の名前は仮名の場合があります。





