第16回 肉や魚の焼き焦げ

強く焦がすと発がん物質ができます
遺伝毒性のある発がん物質
バーベキューなどをする機会の多い夏。「焦げを食べるとがんになる」と言われたことがある人は多いでしょう。昔は詳しいことが不明だったのですが、研究が進み、魚や肉の焼き焦げに含まれる「ヘテロサイクリックアミン類」(HCA)の一部に発がん性があることが、分かってきました。
これらは、発がん物質の中でも特に要注意の「遺伝毒性」という性質があります。発がん物質には、細胞のDNAを傷つけ、遺伝子の突然変異をもたらす「遺伝毒性発がん物質」と、DNAを傷つける作用は持たないけれども、突然変異を起こした異常細胞の増殖を促すなどの作用を持つ「非遺伝毒性発がん物質」の2種類があります。
後者には、食塩やアルコールなどが該当します。これらは、一定量を超えないと毒性を示さず、摂取量をコントロールすることで安全が守られます。一方、前者の遺伝毒性発がん物質は、ごく少量でもDNAを傷つけるため、摂取量を極力減らした方がいいとされています。
HCAは遺伝毒性発がん物質。でも、焼くという簡単な調理で知らない間にできてしまう。どうしたらよいのでしょう? 実は、食品安全委員会が委託した調査で、もう少し詳しいことがわかってきました。
「直火で焦がす」は禁物
焼いたり揚げたり薫製などにした市販加工食品には、HCAはほとんど含まれておらず、あったとしても微量でした。同時に調理法の影響を調べたところ、フィッシュロースターによる加熱やフライではHCAは検出されず、ホットプレート調理も検出はごく微量。ところが、直火でかなり焦げ目が入るほど強めに焼いた時のみ、HCAが比較的高濃度で検出されたのです。
つまり、バーベキューも魚の炭火焼きも、焼き加減が大事。気をつけてください。
遺伝毒性発がん物質は天然物の中に数多く含まれ、食品中にも存在します。調理でできる物質も、ほかにもあります。特にリスクの高い物質については、国が規制を行ったり、製造法改善を促したりしています。
一方、多くの人が発がん物質と聞いて連想する農薬や食品添加物は、遺伝毒性がある場合には国が認可しません。どちらかと言えば、天然物の方がうんと怖いというのが実情です。