第10回 食品の保存性を上げる技術
冷凍や食品添加物、脱酸素剤などが役立っています
昔は食塩が多用され、過剰摂取に
食品を保存するために、人類は昔から知恵を絞ってきました。加熱はもちろん、干したり燻(いぶ)したり、酢漬けや砂糖漬けもありました。
特に、日本で多用されたのは食塩。福井県の若狭湾でとれた鯖(さば)に塩を利かせて京都まで運んだ「鯖街道」はよく知られています。また、冬場に野菜を栽培できない寒い地方では、漬物で野菜を補っていました。
これらの塩蔵食品には独特のおいしさもありましたが、戦前の日本人の食塩摂取量は1日20グラムを超えていたそうです。食塩のとり過ぎは体に悪く、日本人の多くが高血圧や脳卒中、胃がんなどに苦しみました。
戦後、減塩運動が進められた結果、日本人の食塩摂取量は11~12グラムまで下がりました。砂糖をたくさん使った食品なども減り、代わりに冷凍や缶詰、レトルトパック、酸素を抜く包装、食品添加物など、多岐にわたる保存技術が使われるようになりました。
冷凍食品は年間250万トン消費されており、国民一人当たり年間約20キロも食べられています(日本冷凍食品協会まとめ)。缶詰は年間353万トンが国内で生産され、飲料を除いても37万トンが作られています。輸入量も80万トンあります。また、レトルト食品も年間32万トン、国内生産されています(日本缶詰協会まとめ)。
食品添加物も、保存料や酸化防止剤などさまざまなものが、食品の保存性向上に重要な役割を果たしています。脱酸素剤も多様な食品に使われています。
添加物も食料資源を生かしてくれる
現代のこれらの技術はとかく、批判されがちです。「本物ではない」と言われることすらあります。包装材から内分泌かく乱化学物質(いわゆる環境ホルモン)が溶け出し、健康影響があるのでは、と言われた時期もありました。しかし、技術の改善が進んで懸念される物質は使われなくなっており、もう心配はいりません。食品添加物も、安全性に十分配慮して使う仕組みが整えられています。
食料資源を無駄にせず生かしてくれるうえ、食塩や砂糖などの過度の摂取を防いでくれるこれらの技術は、もっと評価されるべきだと私は考えます。昔ながらのおいしさ、食文化も大切。でも、新技術もすばらしい。皆さんはどう思いますか?

